毎年秋の始まりはヘルスコミュニケーション学会で迎えます。近年は京都、九州と西日本が続きましたが、今年は東京大学にての開催。研究発表の参加もこれまでを上回り、また学会に集う方も過去最高であったと聞きました。医療、健康情報が皆様にとってより身近になり、より気にかかるものになってきた現れと感じています。
本年のテーマは「ヘルスコミュニケーション学の研究方法論の探求」として、ー「会話」「文章」「映像」を通じたヘルスコミュニケーションの研究方法論をテーマにシンポジウムーでした。今回はその中でも「文書」に関わる研究方法について印象的な発表について報告いたします。それぞれの医療や介護、福祉の現場でなど身近な状況に置き換え考えてみることで、今後、先を作ってゆくきっかけになることを考え、学会で報告された慶應義塾大学先端生命科学研究所「からだ館」 と同大学環境情報学部の研究一例として取り上げながら、小職がこれまで地域の中で経験してきた事を考察として交えて進めていきます。
老人保健施設に出向いていた時、多くの方の言葉使いにその方の生きてきた姿がそのまま現れていると感じていました。伴侶をどの様に呼ぶか、食事をどの様に食べるか、周りの方とどの様に過ごすのか、その「どの様に」にその方の生きてきた有り様が見え、そのすべてを明るくそのまま受け容れる事で始まってゆく関係が有りました。生きてきた背景は人様々で、それぞれの物語を持っています。施設の場ではご利用者の方もその違いを皆が自然に受け容れている、いえ、むしろ気にも止めないこと事としてありました。また、言葉は使い方、生きてきた違いの他に、地域性、いわゆる方言という形でも違いが現れます。「会話」を通うじてヘルスコミュニケーションを考える時その日常的に自然に流れる中に一つ一つ手にとり掬って見ることで、小さな試みであっても、先に大きな可能性を見出して行けると考えます。まさに慶應義塾大学先端生命科学研究所「からだ館」 と同大学環境情報学部の研究はその一例です。
この研究は、利用者(住民)が主体的に介護予防や健康増進に取り組み、動機付けや行動変容に効果が期待される教材として報告されてたこれは、住民の参加者が具体的に「健幸かるた」という教材(ツール)をワークショッップに参加しながら、日々の実践や心掛けていることを句に落とし込む作業から制作へというプロセスを経て、皆で遊べるツールにしてゆくというものです。
日常の生き生きとした心の機微をすくいあげ、自分の経験、他の方の経験、各々日々の瞬間瞬間に感じていることを「かるた」という短い言葉の中に互いを受容してゆく、そんな経験が展開されていることを目に見えるようです。
研究においては、もともと、”地域住民の健 やかに暮らす実践や知恵を共有し、それらを読み札とした「健幸かるた」を制作し、それを普 及することで、住民が遊びを通して気づきや意欲を高められるような仕掛けづくりに取り組ん だ。”とあるように健やかに暮らす意欲を高めるツール制作が目的にあり、かるたの句に健康についての気づきなど盛り込まれており、実際に遊ぶ際はそれを声に出して読み上げるということが、更に活気をもたらすことにつながることでしょう。
今回の「健幸かるた」制作という研究発表に出会い、言葉、文書を中心にた身近に展開できるヘルスコミュニケーションを考える機会となりました。
小さいことと思われる事の中に、お一人お一人の生命が輝く瞬間があります。その瞬間瞬間に共に居る事にSUNARIが考えるヘルスコミュニケーションの根幹があります。今後も様々な事例や研究に触れて、その実践を考えて行きます。
参考研究:2-B-01 住民参加型アプローチを用いた「健幸かるた」の作成と普及
http://healthcommunication.jp/jahc2019/dl/jahc2019_45-59.pdf

